雑記

【品質管理】火傷したから金くれクレーマーの末路【品質保証】

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僕は食品工場で約10年間、品質管理・品質保証の仕事をしていたのだが、その時に対応したイカれたお客様の話をしようと思う。

クレームが起こった時の品管管理や品質保証の行うべき対応方法を記載しているので、これから品管や品証を目指す人の一助になれば幸いだ。

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クレームの発生

僕が勤めていた食品工場は小さな会社だったので、品質管理と品質保証の仕事を兼業して行っていた。品質保証の仕事と言うと、要は客からの苦情の窓口となる部署だと思ってもらえれば分かりやすいと思う。働き始めた当初はこの電話が鳴るだけで胃が痛くなったものだが、慣れというのは怖いもので数年経つと所謂キチ〇イクレーマーからの電話でも余裕を持って対応できるようになる。

ある日、会社に一本の電話が掛かってきた。クレームの電話だったらしく内容は「おたくの冷凍のハンバーグをフライパンで調理したら、あり得ないくらい油が出てきて跳ねた油で手の甲を火傷した」とのこと。

怪我は不味いなと思いつつ、謝罪と怪我の心配をして、それとなく病院を勧めてみる。勿論、治療費はこちらで負担する旨も伝えるが、頑なに病院には行きたがらない様子であった。

話が進まないので、原因を調べたいので当該品が残っていたら返却してほしいことを伝えると、取りに来いと仰られる。原因がどこにあるかまだ分からないが、怪我もされているし無碍にはできないので、取り敢えず謝罪も兼ねて回収に行くことにする。

しかし、お客様、住所を教えたくはないとのこと。もう、このあたりから長年の勘で怪しいニオイが漂ってくる。因みにクレームがあった際はお客様情報として、連絡先、名前(フルネーム)、住所を聞くのだが、教えてもらえたのは電話番号と苗字だけであった。

結局、指定された場所は某ファミレスであった。と言っても、県外のお客様なので、新幹線と在来線を乗り継いで5時間ほど掛かる計算であった。

商品の回収

大手の企業であればクレーム品の回収などは営業が担当するのだろうが、生憎僕の勤めていた会社は品管・品証の担当となっていた。

指定時間より少し前に到着し客を待っていると中年の男性が現れた。仮にSとしておこう。

ファミレスに入り、一通り形式的な謝罪をして本題に入ろうとしたら、Sはいきなり本性を現してきた。「ハンバーグからあんなに油が出るなんて予想できない。しかも火傷を負ったので、あれ以来料理するのが怖くなってしまった。精神的苦痛を受けたので慰謝料を50万円払え」とのこと。

ハイキタ、お金くれくれクレーマー。そもそも僕の一存でお金は払えないし、油が大量に出てきた原因を調べて製品に非があれば考えるが、この場では約束できない旨を伝えると納得いかない様子。火傷の方も心配するフリをして探りを入れるが、まだ病院には行っていないそうだ。火傷のあとを見せてもらうと、手の甲に蚊に刺されたような1mmくらいの赤くなった箇所があり、これを火傷だと主張する。

一刻も早くこの場を離れたい。これ以上アホに付き合っていたら、こっちまでアホになってしまう。なんとか当該品を回収し、調査結果を改めて報告する約束をして別れることに成功する。

原因調査

明らかに金が欲しいだけの頭おかしい人の主張であっても、こちらに非がないことを証明するためにも原因調査はしなくてはいけない。

製造工程の確認

この商品には原材料に牛脂を使用している。「油が大量に出てきた」との苦情なので、製造時に考えられる原因としては、牛脂の入れ間違いや計量間違いの可能性がある。

パッケージに記載されている賞味期限とロット番号から製造日と製造ロットを割り出して、その製造日に原材料の入れ間違い・計量間違い事故や製造現場でのトラブルがなかったを帳票類を確認して調べることにした。

因みに帳票とは製造工程が正しく行われているかを確認するもので、製造担当者自身が特定の工程を行った際に記録をつけるチェックシートのようなものだ。

関係する帳票類を調べたが特に異常はなかった。一応、他の工程の帳票も確認するがこちらも問題なし。

返却品の確認

回収した当該品と社内で保管している同製造日、同ロットのサンプルを実際に調理して油が大量に出るかを調べてみた。Sから聞き取りした通りの方法で調理するが全く問題なし。まぁ、予想はついたけど……。

そもそも、食品工場では一度に大量の食品を生産するので、今回のような苦情内容だと拡散性があるので、1件だけ発生するとは考えにくく、他のお客様からも同様の苦情があってもおかしくないはずだ。

結果報告

Sに連絡して調査結果を報告しようとすると、「電話で報告するな、会って話をしろ」と、これまた頭のおかしい発言をしてくるではないか。わざわざ5時間もかけてキチ〇イに会いに行くわけないじゃんと思いながら、丁寧にお断りして、調査結果を報告する。

もちろんSは納得するはずもなく「弁護士雇って訴えてやるからな」とか「ネットでお前の会社のこと色々と書いてやるからな」とか言っていたが、こちらとしても止める権利もないし客の自由なので、どうぞ勝手にやってくださいとしか言いようがなかった。

数回同じやり取りを繰り返していると諦めたのか、最後は「もう、お前のところの商品買ってやらないから」と電話をガチャ切りされて終了。一応、話の途中だったのでもう一度Sに追撃の電話をするも繋がらず。念のため事務員さん達にはSから電話があったらすぐに僕に繋いでとお願いするも、二度とSから連絡がくることはなかった。

おしまいっ。

以下、僕が品管時代に参考にしていた書籍。食品工場に携わる方は是非参考にしていただきたい。

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