雑記

食品工場の元品質管理が教える事故を未然に防ぐために使用した便利なアイテム6選

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食品を製造するうえで最も気を付けなければいけないことの中に食中毒と異物混入がある。これらの事故を起こしてしまうと規模にもよるが製品のリコールなどによって、工場に大きな損害を与えることになってしまう。

今回は約10年間にわたり品質管理の仕事をしていた僕が、実際に工場に導入して事故を未然に防いだ6つのアイテムを紹介しようと思う。

現在、工場で品質管理の仕事をしている方や改善活動でお悩みの方に是非参考にしていただきたい。

食中毒対策

食中毒対策と一概に言っても生産する製品によって違いがあり、製造工程内では高温殺菌や凍結、冷却などの温度管理が主になるだろう。それらについては各社独自のCCP管理によって達成すればよいのだが、もっと基本的なところに着目すると、やはり従業員の手洗いがあげられる。特に冬場に活性化するノロウィルスはアルコールが効きにくく、手洗いの重要性を再認識させられる。

ノータッチタイマー TM-29

この商品は名前の通り非接触型のタイマーとなっている。工場に入る前の手洗い場とトイレに設置していた。手を近づけると規定時間タイマーがカウントダウンしていく。その間はハンドソープで決められた手順通りに擦り洗いを行う。タイマーが0になるとアラームが鳴るので、そのあと手を濯ぐ。このようなルールを決め、これを従業員教育と合わせて行うとより効果的だ。

防水機能があるので少々水がかかったくらいでは壊れない。しかし、旧タイプのM-27は防滴機能は付いているが水回りで使用するとすぐに壊れてしまうためお勧めしない。

ポビドンハンドウォッシュ、イソジンウォッシュ

どちらの商品も様々なウィルスに効果あると言われているポビドンヨード(ヨウ素)が入ったハンドソープである。有効成分の量も同等である(1ml中に有効ヨウ素7.5mg)。

違いはポビドンハンドウォッシュは泡状で出るのに対し、イソジンウォッシュは液体状で出てくる。両方使用したことがあるが、僕はイソジンウォッシュからポビドンハンドウォッシュに切り替えた。理由としてはハンドソープを出した時に泡状の方が飛散しにくいから。普通のハンドソープと違い色素がついているので飛散すると手洗い場が褐色になってしまうのだ。ただ、褐色になると言っても水で簡単に洗い流せるので、そこまで神経質になる必要はないだろう。効果が同じであれば安価な方を導入すればよい。

異物混入対策

食中毒と並んで食品工場の脅威となるのが異物混入事故だ。ただし、現在はどの工場でもCCP工程として金属検出器やX線検査装置を導入している所が多いと思う。排除品の取り扱いを間違えなければエンドユーザーに危害を与えるような硬質異物は工場から出ないだろう。そのため、より注意を払わなければいけないのが、金属検出器やX線検査装置では排除することができない軟質異物だ。特に従業員自身が発生源となる毛髪の混入はどの工場にとっても永遠の課題と言えるだろう。

フルフェイスインナーキャップ

毛髪混入防止対策は本当に色々やった。中でも効果があったのが、このフルフェイスインナーキャップの導入だ。この商品の導入以前はどこの工場でも使っている一般的な髪の毛のみを覆うタイプのインナーキャップを使用していた。作業者は動くのでどうしても通常のインナーキャップだとズレが生じて髪の毛が出てしまう。これが製品に落下、混入してクレームが発生する。

しかし、このフルフェイスインナーキャップは露出する部分は顔面のみでそれ以外を覆ってしまう。顔にピッタリとフィットするので少々動いたくらいではズレは生じない。見た目は窮屈に感じるかもしれないが、肌触りの良い素材が使われているので全く気にならないのもポイントが高い。

さらに、メガネの柄を通す穴も付いている。この穴を通さずにメガネをかけると、顔とインナーキャップの間に隙間ができてしまう。そうするとその間から毛髪が落下するリスクが発生するので、メガネをかけている人には必ずこの穴を通すように指導しよう。

スパイラルクリーナーテープ

この商品の利点はとにかく従来の粘着テープに比べ圧倒的に剝がしやすい。テープを剥がす起点を掴んで引っ張るだけで剥がれてしまう。おそらく1秒も掛からない。

では何故これが異物混入防止につながるかと言うと、工場の入場口では作業着に付着した異物を持ち込まないために粘着ローラー掛けやエアシャワーを行っているところが多いと思う。特に朝の時間帯など従業員が同じ時間に一斉に入場すると粘着ローラーを掛けるスペースが混雑してしまい渋滞してしまう。自分の後ろに列が出来てしまうと不思議なもので『早く終わらせないといけない』、『早く次の人に代わってあげよう』と考える人が少なからず出てくる。このような人達は悪意はなくても粘着ローラー掛けが疎かになり、異物を工場内に持ち込むリスクも上がってしまう。

このような人の心理を解消して、規定時間内正しく粘着ローラー掛けをしてもらうためにも、この商品は役立ったと思う。

飛散防止蛍光灯

皆さんは蛍光灯が割れたところを見たことがあるだろうか? 工場内で普通の蛍光灯が割れるとホントに悲惨である。興味ある方はYouTubeに動画があるので見てほしい。

割れる原因は新しいものと交換中に誤って高所から落下させてしまう場合がほとんどだと思う。まさか生産中に交換作業をする人はいないと思うが、稼働停止していても周辺には生産設備が多数あり、割れた破片の除去に苦しむだろう。しかも飛散した破片が後日、思いもよらない所から出てきたなんて話もよくある(その間に生産した食品は安全なのだろうか?)。

前述のような事故を起こさないためにも、もし未だに飛散防止ではない普通の蛍光灯を使用しているのであれば、工場内全ての蛍光灯を飛散防止タイプに変更すべきである。

尚、OEM製造工場であれば独自の安全基準の内にこの飛散防止蛍光灯の使用が義務付けられているところもある。僕が体験した厳しいところでは、生産に関係ない事務所内なども飛散防止蛍光灯の使用を義務付けたり、そもそも生産設備の上に蛍光灯を設置して駄目なんてのもあった。

割れないミラー

前述の飛散防止蛍光灯と内容は同じ。工場内でガラスは使うなよってこと。割れる材質=異物混入につながるので、割れない素材のものを使うことで異物混入を未然に防ぐことができる

まとめ

今回は僕が現役で品質管理の仕事をしていた時に、実際に使用していた品質事故を未然に防ぐための商品を6つ紹介した。食品はユーザーが口にし、体内に入れるものだから、製造側は安全・安心な製品を提供することが何よりも重要である。事故を未然に防ぐためにも、今回紹介した商品が工場改善の一助となれば幸いだ。

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