雑記

【品質管理】頭のおかしいクレーマーの対処法【品質保証】

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僕は約10年間、食品工場で品質管理の仕事をしていたがその時に対応した頭がおかしいお客様の話をしようと思う。

クレームが起こった時の品管管理や品質保証の具体的な仕事内容と対応方法を書いているので、これから品管や品証を目指す人の一助になれば幸いだ。

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クレームの発生

僕が勤めていた食品工場は小さな会社だったので、品質管理と品質保証の仕事を兼業して行っていた。品質保証の仕事と言うと、要は客からの苦情の窓口となる部署だと思ってもらえれば分かりやすいと思う。働き始めた当初はこの電話が鳴るだけで胃が痛くなったものだが、慣れというのは怖いもので数年経つと所謂キチ〇イクレーマーからの電話でも余裕を持って対応できるようになる。

ある時、商品を食べた客から「いつも食べているものよりも辛い」との連絡があったので、謝罪して当該品を返却してもらうことにした。この返却された当該品を調べて、原因を改めて客に報告するというのが一般的な流れである。因みに辛いと言われた商品は冷凍の餃子のような食品なので、以後は冷凍餃子と呼ぶ。

製造工程の確認

数日後、客から返却された冷凍餃子が届いた。パッケージには賞味期限とロット番号が記載されているので、そこから逆算して製造日と製造ロットを割り出すことができる。

因みにロットとは仕込み単位のことで、食品工場では機械を使って一度に大量の食品を製造するので、例えば1ロットが1トン、これを日に10ロット(10トン)生産する等の意味で使われる。また、今回のように出荷後に何かあった場合には後追いできるように、ロット番号と後述する帳票とを紐付けしておくことで異常があった範囲を特定することが可能となる。

今回は「いつも食べているものよりも辛い」という苦情なので、調味料の入れ間違いなどの可能性が考えられる。ただし、調味料の入れ間違いなどをしてしまった場合は他の客からも大量に同様の苦情が来る可能性が非常に高いが、この時はまだこの1件しか苦情は発生していなかった。

取り敢えず、この製造日に調味料の入れ間違い事故や製造現場でのトラブルがなかったを帳票類を確認して調べることにした。

食品工場の製造現場では様々な帳票を使用している。帳票とは製造工程が正しく行われているかを確認するもので、製造担当者自身が特定の工程を行った際に記録をつけるチェックシートのようなものだ。今回の苦情で関係する工程は「調味料の計量工程」と「調味料の投入工程」となる。

関係する帳票類を調べてみたが特に異常は見られない。他の工程の帳票も確認するがこちらも異常はない。念のため、製造現場に出向いて当日の製造に携わった従業員に当日変わったことがなかったかを聞いてみるとこちらも異常なし。手がかりを掴むことが出来なかったので、返却された冷凍餃子を検査することにした。

返却品の確認

食品工場の中には検査室と呼ばれる部署がある場合が多い。この検査室では何をするかと言うと、主に微生物検査、理化学検査、官能検査を行っている。返却された冷凍餃子をそれぞれの検査に出してみた。

微生物検査

食品中の微生物の数や種類を調べる検査。通常業務としては出荷する前の商品を検査してその結果、食品中の微生物の数が基準より多ければ賞味期限まで品質を保持出来ない可能性があるので出荷許可をしない。また、特定の微生物が確認された場合も出荷許可を出さない、という風に出荷に関するジャッジを行っている。

微生物の増加によって味が変化する場合もあるので(例えば乳酸菌が増えると酸っぱくなる等)、今回も念のため検査を依頼した。

冷凍餃子の微生物検査では微生物の増加はなかった。

理化学検査

塩分、糖度(Brix)、水分活性などの数値を測定する検査。自社でそれぞれの基準値を決め、その検査結果から微生物検査と同じく出荷判断を行う。

冷凍餃子の理化学検査ではいずれの数値も基準を満たしており、異常は確認できなかった。

官能検査

理化学検査では数値化できない食品の味、匂い、見た目を検査する。検査方法は食べる、匂いを嗅ぐ、見る、至ってシンプルだが数値化出来ない故、個人の客観的判断に委ね個人差が出てしまう。そのためこの検査は複数人で行うことが推奨されている。

また、調理方法による差を出さないためにも、調理にかかる温度や時間(加熱時間など)も一定のものとしている。

冷凍餃子の官能検査では味、匂い、見た目に異常は無いと判断した。

結果報告

前述した通り、製造工程、微生物検査、理化学検査、官能検査に異常はなく、当該の冷凍餃子が辛いと言うこともなく、通常の味の範囲内であった。

この調査結果を客に報告したところ、「いつも食べているものよりも明らかに辛かった」とのことで、納得されない様子。繰り返し説明するも逆効果のようで客はヒートアップしている。

ここでハッと閃き、客に聞いてみる。「いつも食べている」とは当該の冷凍餃子のことですよね?と。すると「別メーカーの冷凍餃子だけど」とまさかの回答……。

『いや、普通当該品と比べて味が違ったら苦情言うよね?メーカーが違ったら味が違うのなんて当たり前じゃん。そもそもそんなこと猿でもわかるだろ。何なのお前猿なの?猿以下だろ?』っていう内容を百枚くらいオブラートに包んだ言い方で猿にも分かるように丁寧に説明したら、ようやく理解できたようで、それでも渋々納得していた。

最後にクソ客から「関西と関東では味付けが異なるから、そのことも加味して商品を作れ」との意味不明なお言葉を頂戴しました。怖いねぇ~w

おしまいっ。

以下、僕が品管時代に参考にしていた書籍。食品工場に携わる方は是非参考にしていただきたい。

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